タイの日本大使館の対応と田中被告の抗議
宇崎喜代美さんらの努力によって、タイの国会議員による刑務所視察が実現したことはきわめて異例のことであって、これは現地刑務所長らにも衝撃を与えている。囚人のテレビを看守らがとりあげていたのが返還されるなど、して所内の他の囚人が喜んで、田中氏にvサインを送ってきたそうだ。
が、同時に彼らは、この視察に対する陰湿な反撃として、児玉氏をバンコク刑務所に送り返す措置をとった。安田事件でも、安田氏を麻原と同じ留置場に入れるなど、どこの国も権力のやることは表沙汰のきれい事ではなく、このようなものである。
ここでは、この事件についてこれまで日本人保護の立場からは何の努力もしてこなかった現地日本大使館がまた、なにもしていない、ということを再度指摘しておきたい。
これまでも、何度か田中・児玉事件に対するタイ大使館の対応の不可解さを指摘してきたが、今回、獄中の田中被告はつぎのような手紙を大使館に出した。
各国大使館は、他国にとらわれている囚人に対し、理由の如何を問わず自国民保護の立場からそれなりの努力をしている中で、この日本大使館の対応は際だって異例とチョンブリ刑務所内でもうけとめられている。
いうまでもなく、田中被告が、「よど号ハイジャック事件」の犯人である、という事実と、タイでの刑務所で不当な待遇を受けているというのは全く別次元の話であるが、
日本大使館はこれに関する救援活動への協力は、「内政干渉になる」などといって、小指一本動かそうとしないのが実状であった。これは一般に、世界各地の日本大使館が、もし邦人が無実の罪で捕らわれても、なにもしてくれない、という見本のようなことであるから、海外旅行などされる向きは十分承知の上ででかけたほうがよろしい。
なお、タイの日本大使館というのは大変現地では評判が悪く、タイの上流家庭のある女子大学生がビザ申請にいってセクハラまがいのことを大使館員(日本人)にされ、日本留学を断念したなどの事例がある。いずれ機会をみて報告したい。
3/18 未明 宮崎 学
田中義三被告の抗議文
昨日、大使館員と私、児玉氏との共同面会が拒否されました。
普通、大使館(国家の代表機関)の館員がしかも以前何度も顔を見せている人が来て自国籍の人との面会が拒否されるなど異例です。
他の外国囚人も一様に驚きの気持ちを表現していました。
更に本日、児玉章吾氏はまたバンコクに移送されました。
何故こうした理不尽なことが許されるのですか。
彼は再審を要求しており、それが認められればこのチョンブリ刑務所で再審がなされるはずです。また前回の移送書類も本人の気持ちを無視し、何も知らない児玉氏をだまして作成したものです。昨年12月の法廷に於ける証言が終えた時、もし必要ならその時移すことも出来ます(それ自体が理に合わないことですが、、、)。しかし、今になって急にまた移すなど、これはどう考えても先週行われた私の足枷に対するバンコックの人権関係者の刑務所視察に対するイヤガラセであり、強迫圧力に他なりません。私は今回こそ、日本人私達に対する重なる不当・理不尽な対応に対し、大使館が毅然たる断固たる立場で問題の処理に当たるよう、お願いすると共に、注意深く見守る覚悟です。
1999年 3月16日 田中義三