「唯一の物的証拠」
指紋のインチキを暴く 3/25
田中事件での「指紋」はコンピュータ操作の贋作や
田中義三被告が犯人、という「唯一の物証」というのは実は、1238枚の偽100ドル札についていた、たったひとつの人差し指の指紋だ、ということはかの悪名高い高世仁君の著書でも認めておる事実なんだが、これをわしと【電脳キツネ目組】が検討した結果、おどろくべき事実が判明した。結論からいうと、これは「指紋のハンコ」操作によるでっちあげ、なんや。
たまたま今回の事件ではあまりに拙劣やったから、わしら程度の調査でわかったんやけど、これをもっと巧妙にやられると、どうなるか。考えたらコワイもんがある。つまり、今後、「指紋」は証拠とならない時代がくる、ということである。けいさつの関係者は、アホなアメリカのシークレットサービスのおかげで、えらい時代がきてしもた、とココロしたほうがええで。
この事実は、本日、タイ・チョンブリの法廷で明らかにするが、以下の文書がその調査である。
なお、この調査には結構な時間と、多額のカネがかかった。そのカネは【電脳キツネ目組バッチ】の頒布による収益基金からださせてもらった。バッチをこうてくれた人は「自分のゼニで、世界初の指紋のでっち上げを暴いた」と威張ってくれ(^_-)
3月25日 タイにて 宮崎 学
指紋問題についてのレジュメ 1999.3.25
タイ王国チョンブリ地裁における「パタヤ偽ドル事件」で、田中義三氏に関する唯一の物証は指紋であるとされてきた。
その指紋は、アメリカ合衆国財務省シークレット・サービス捜査官が、カンボジア国プノンペンの児玉国際貿易株式会社事務所の机の引き出しから1238枚の偽100ドル札を発見し、その中の1枚から田中氏の右手人指し指の指紋1個が検出されたことになっている。
私たち田中氏の支援者は、当初よりこの指紋に疑問を提起してきたところだが、昨年12月の公判において裁判所も特別の関心を示し、あらたに田中氏の指紋を法廷内で採取し、証拠となっている措紋の写真撮影も許可した。私たちは、それらの資料を日本に持ちかえり、さまざまな検討を加えたところ、複数の鑑定意見書・報告書にまとめることができた。
私たちは、これらの検討をとおして、偽ドル札から検出されたときれている指紋は、田中氏の指紋のコピーであることを確信するに至った。その理由は、次のとおりである。
(1)証拠として、あまりにも杜撰なこと
プノンペンの事務所の机の引き出しから押収されたというが、その押収手続きの書類は一切なく、立会人はむろんのこと、現場写真もない。シークレット・サービス捜査官が、後日になって話しただけである。
押収のきっかけも、あるSS捜査官は、電話でコダマが引き出しにあるはずだと言ったので捜索したところ発見したと言い、別のSS捜査官は、プノンペンに行く前にコダマから引き出しにあると聞いていためで捜索・発見したと言っている。
そのコダマの「供述書」なるものに、事務所引き出しの偽ドル札について、一切の記述がない。もし本当に押収したものならぱ、児玉・田中両氏が偽ドル犯人であることの最高の証拠なのだから、「供述書」に説明させないはずはない。
そもそも、その机は、事務所の人々が共同で使っていた机で、鍵がかかっていたわけでもなく、大切なものをしまっておくような机ではないとのことである。しかも、この偽ドル札については、現在進行中の裁判において起訴もされていないのである。単なる状況証拠の一つにすぎない。
(2)指紋検査があまりにも杜撰なこと
発見した100ドル札は、実は1239枚あって、そのうちの1枚は真札で、残り1238枚が偽ドルだったという。その1238枚のうちの6枚から指紋が検出され、その1枚に田中氏の指紋が付いており、5枚に付いていた指紋は誰のものとも判別できなかったということになっている。
1枚の真札は、指紋検査を行なっていない。また、最も指紋がつきやすいと考えられるビニール袋(その中に1239枚があった)の指紋検査をしていない。
上記の5枚の検査日は、1996年4月5日。田中氏の指紋とされた1枚の検査日は、同年6月8日となっている。また、その5枚と1枚の証拠物に付けられた“ケース・ナンバー”が異なる。5枚の方は「Case#119−711−1106」、1枚の方だけが「Case#429−711−1960O−6」。なぜか?
2月初旬に押収して、アメリカ本国に送ったというが、4月・6月の検査とはずいぷん遅い。5枚と1枚の扱いが別々なのはなぜか?しかも、田中氏の指紋検出だけが4か月も遅いのはなぜか。田中氏の裁判は、5月には始まっている。田中氏の指紋だけが、6月になって検出されて、遅れて法廷に提出されるなどということが許されていいはずがない。
これら指紋検査の経緯についてのSS捜査官の証言がまた、いいかげんなもので、矛盾だらげである。誰が、どのようにしてアメリカ本国に送り、何月何日に、どの資料を受け取って、どのような検査を実施したのか、すべてにわたって矛盾が多い。
(3)指紋カードの杜摂さ
上記の偽札から検出した指紋と照合したという田中氏の指紋カード(FBI方式のもの)は、氏名欄には「HAYASHI,SHOJI」、生年月目は「36年07月09日」となっており、この林正二氏が実在する日本市民(生年月日は全く一致)であることは、昨年9月の公判で明らかにされた。逮捕された当時、田中氏が「ハヤシ」と名乗っていたからといって、10歳も年齢の離れた別人の名前と生年月日を使うという杜撰さは、どうしたことなのか?またカードには、記載をホワイトで消した部分がある。なぜ消したのか?
(4)指紋の付きかたの間題
偽札から検出されたという指紋は、指先が欠けているわりには、指の関節付近まで印象されている。指紋のある場所を考慮しながら、紙幣を手でさわる場合のさまざまな触れかたを想定してみても、このように指先は触れることなく、指の関節の方を中心に触れることは考えられない。
しかも、検出された隆線は非営に太く明瞭で、かるく触れたというよりは、ぐいとある程度のカを加えて押捺したように見える。
(5)“指紋一致”とは?
アメリカ財務省の指紋検査専門家というドナルド・C・サーファイトは、チョンブリの裁判所で1996年8月1目に証書し、透明フイルムに拡大した2つの指紋画像を重ね合わせて、このように一致していると説明したが、そもそも指紋の画像は、そのようにピッタリと一致するものなのか?
私たちは、日本において指紋に関する基本的な文献を調査した。代表的な文献には、次のとおりの記載があった。
「一般にドラマ等では、指紋同士を重ね合わせる、重合法による鑑定が見られますが、現実にはこの重合法は実施されていません。その理由は、指の表面は柔らかいため、押圧力の加減・方向によって収縮するし、子供時代と大人では指の大きさが異なるため、重ね合わせてぴったりと一致するとは限らないからです」
私たちは、この点に着目し、専門家に依頼してあらゆる観点から資料を検討し、実験を繰り返した。
人間の指は、柔らかく弾カがあるため、1人の同じ指について、同じ条件で同じ時に付着・押捺された指紋でも、拡大して精密に重ね合わせてみると、基準とした特徴点の近くでは一致するが、少し離れるとずれてくるのである。
田中氏のものとされている指紋カード(FBI方式)に押擦されている同じ指でも、回転押捺指紋(カード上で指を横に回して押捺したもの)と平面押捺指紋(カードに指を平らに当てたもの)とでは、完全にずれる。
別の人でも実験してみたが、同じ指の指紋の形が完全に重合することはないのである。それほどに、人間の指は微妙なのである。
だからこそ、指紋鑑定においては、指紋の凸部(隆線)を検査して、途切れているところ、分岐しているところなどを相互関係において確認する(例えば渦巻きの中心から何本目の隆線が分岐しており、その先で途切れているなど)の手法で、固有の特徴点を数え上げ、その数が、あらかじめ決められている数を満たせば、そこで一致の結論を出すことになっている。日本・アメリカ・ドイツなどは12点、イギリスは王6点、フランスは17点が一致する必要があると決められている。
私たちが日本で依頼した指紋の専門家(元警察の鑑識部門に勤務)は、上記ドナルド・C・サーファイトの検査において、偽札から検出した指紋と指紋カ一ドの指紋は、9か所で一致したとされているが、そのうち2か所は、隆線の特徴点として挙げることはできない─と意見を述ぺた。つまり、隆線の途切れや分岐ではなく、単に少し太く見えるだけだというのである。そして、他の機会に採取された田中氏の右手人指し指の同じ部分を精密に検査して、その太く見える部分は、押捺の際にインクが多く付着した部分であろうと説明してくれた。7か所の特徴点では、一致とは言えない。
ところが、偽札から検出されたという指紋と、指紋カード(FBI方式)の右手人指し指の指紋を拡大して精密に重合させてみると、あまりにもピタリと一致するのである。形にずれがない、しかも、カードに印刷されていた文字の部分が、札の方では切れている。インクのむらと考えられるものが両方では一致するのである。
私たちぱ、化学の専門家に依頼して、人工的な無色の皮膚分泌物(汗など〉を用いて指紋を別の紙に転写し、それを化学薬品によって検出する実験も行なった。それは十分に可能だった。
私たちは、その他、さまざまな観点から、複数の分析を行なって、結局、偽札から検出されたという指紋は、指紋カード(FBI方式)の右手人指し指の指紋を転写(コピー)したものとの確信に達した。
裁判所が、指紋の証拠価値を否定し、公正な判断をくだされるよう、切に期待する。