ブック・オブ・ザ・イヤー '96
- ダカーポ No.364 より -


今年一番面白かった本は何か。

B.O.Y.

新聞、週刊誌、文芸誌など26の媒体の書評担当者にお願いして、今年の5冊を選んでいただいた。果たしてその結果は...

A: 本ってのは、どうしたって個人的なものだから、ランキング作ってもそれ自体には意味はないんだけれど、これから何を読もうかなって人が選ぶ上でのリストとしては役に立つね。 _J[|
B: 新聞、週刊誌、文芸誌の書評担当者ですからね、みんなかなりの活字中毒者でしょう。本の目利きの選んだ5冊。
A: みんなバラバラな作品を挙げて、カオス状態になるんじやないかと心配だったけど、杞憂だったね。上位のものは誰が読んでもどれも面白い本だぞ。
B: で、堂々の1位が浅田次郎『蒼穹の昴』。清期末期を舞台にした歴史絵巻だけど、いやあ、面白かった。元気が出てくるよね。
A: こういう企画をやるとどうしても最近出版された本が上位にランキングされるんだけれど、これは4月の初版。それにあんまり売れると票が集まらなかったりするけど、これは28万部も出てる。みんな本当に『蒼穹の昴』が好きなんだね。
B: 浅田次郎は『天切り松闇語り」『勇気凛々ルリの色』も面白かった。浅田節がさえ渡った一年だった。『蒼弩の昴』は全4部作になる予定なんだそうだけど、『小説現代』12月号からは第二部が始まったし、思ったより早く続きが読めてうれしいかぎりだ。
A: さて、2位になったのが宮崎学の白伝『突破者』。いやあ、これも面白かった。
B: なんてったって、グリコ・森永事件を仕組めるのはこいつしかいないと警察に徹底マークされていた「キツネ目の男」の自伝。やくざの息子でおぼっちゃまとして育てられ、早大では共産党の秘密ゲバルト部隊の現場責任者。大学中退後『週刊現代』の記者。経営危機に陥った一家家業の解体屋を継いで、談合破りや仕事の強奪。追いつめられてペテンや踏み倒し...。
B: まさに戦後の陰の部分を生きた男の疾風怒涛の半生記。エピソードが面白い上に文章もうまい。
A: 久米宏、田中真紀子、呉智英、立花隆、大谷昭宏...といろんな有名人の若いときが描かれているのが楽しかった
G: さて、第3位は『不夜城』。
B: 新宿を舞台に中同人と日本人のハーフの青年を主人公にしたハードボイルド。楽しみな新人が出てきたね。
A: 無国籍化しつつある新宿を上手に描いていた。

- 以下略 -