問題を越こしてもクビにならない警部を直撃取材


文一津田哲也+寺澤有

兵庫県警「拳銃61丁押収」はヤラセだった


警祭が暴力団などの協力を得て、〃ヤラセ〃で奉銃を押収するケースは多い。その中でも、これからリポートするヤラセは、最大かつ最悪だろう。

94年9月10日、兵庫県警祭本部は大阪府泉大津市の堺泉北港において、タイの貨物船「ハイスーン」の乗組貝であるサダユット・ゲリンGオツブ氏(当時28)を、拳銃61丁と実弾255発を所持していた銃刀法違反の現行犯で逮捕した。
 ゲリン・オツブ氏は〃「ハイスーン」から券銃と実弾が入つた麻袋二つを運び出し、岸壁の材木置き場に隠していたところ、「匿名の通報によつて張り込んだ」という100名近い兵庫県警の警察官らに取り押さえられた。
 その後、刑事裁判でゲリン・オツブ氏は一貫して次のように主張した。「自分はフジモト」およびタナカ」と名乗る日本人から、「荷物を運んでくれしと頼まれた。中身が拳銃であるということは、タイを出港する直前に知った。その時点で依預を断れば、自分が殺害される可能牲もあつた」
 しかし、一審の神戸地方裁判所、二審の大阪高等裁判所とも、ゲリン・オツブ氏が主張する事実額係をぼぼ認めながら、「被告人は大量の拳銃と実弾の密輪入の主要部分を実行している」などとして、懲役10年、罰金50万円という非常に重い判決を言い渡した。この判決は95年11月25日に最高裁判所で確定している。
 一方、ケリン・オッブ氏に拳銃と実弾の密輪入を指示した主犯の「フジモト」および「タナカ」と名乗る日本人は、事件から4年以上経つた現在でもいっこうに消息がれからない。正確に言えば、兵庫県警が捜査していないのである。その理由を大阪税関の職員が明かす。
 「『フジモト』の正体は佐舗正幸という薬物専問の密売人で、昨年8月には大麻取織法達反などの容疑で大阪府警に逮摘されとる。佐舖は兵庫県警の「S」(スパイ)としても有名や。「S」は、捜査機関に協力するかわり、自分の犯罪は見逃してもらうんや。つまり、兵庫県警が佐舗を使つてゲリン・オッブに拳銃と実弾を運ばせ、あらかじめ堺泉北港で待つとつたという構図よ。匿名の通報ぐらいで100人の捜査員を動かすかい。兵庫県警が佐舗を捜査できるわけないんや。ただ、「タナカ」については、どんなヤツかワシらでもようれからん」。

 たが、我々は2年近くに及ぶ取材で、とうとう「タナカ」の正体を突き止めた。このヤラセ事件の全貌を知る関係者が、重い口を開いたのである。

 「『タナカ』の正体は、佐輔を「S」として使とつた兵庫県警の「小林治」(48)という警部なんや。小林は事件の前にあらかじめ部下と佐舗の3人でゲリン・オッブに会うとる。そこでゲリン・オッブに「タイから荷物を運ぶたけで100万円をやる」と持ちかけ、拳銃と実弾を通ぶ段取りをつけたんや」

 実際、昨年10月11日には、小林警部が佐舗氏の関係者から高級セダンを格安で譲り受けていたことが大きく報じられてもいる。にもかかれらず、小林警部は、今年2月に兵庫県警から戒告処分を受けたのみ。警察官が密売人サイドから便宣供与を受けていたというのに、なんとも甘い処分だ。

 現在、ヤラセの現場責任者ともいえる小林警部はクビになるどころか、「兵庫県競馬組合」に出向し、警傭課長の職にある。彼を自宅の近所で直撃した(写真右上)。
 小林警部は我々の質問を聞くや、「もうエエちゅうんじや。昔のことはわからん。警祭を呼ぷでえ!」と怒鳴り、現在も乗り続けている問題の高級セダンを急発進させた。
 兵庫県警に、61丁押収は県警ぐるみのヤラセではないか、と疑問をぶつけても、「本件については、(神戸地方)検祭庁と連携して適正に捜査を達めたものであり、捜査の内容についてはお答えできない」(生活安全部銃器対策課)というコメントが返ってくるだけ。

 そこで神戸地検に授査が「適正」だったのかをただそうとした。しかし、取材に応じた中尾幸一次席検事は、「授査中のことはコメントできない」と言うばかりであつた。神戸地検が「フジモト」と「タナカ」の正体を知らないとすれば、捜査機関として怠慢であるし、知っていたのであれば、兵摩県警の〃共犯〃といわざるをえない。一人、罪をかぶせられたゲリン・オッブ氏は過酷な懲役生活を送っている。
 そして61丁の拳銃押収劇は、いまも兵庫県警の〃大手柄〃として記録されたままである。



 
これは、タイでアメリカにはめられた田中義三被告の逆みたいなケースやなあ。日本の警察がタイ人はめよったんやな。ほっとけんなあ。
それにしても、こんなんほっとくのは、また大マスコミの「警察情報たれながし犯罪」やなあ。あの「砒素事件」の100分の1ぐらい努力したらどうやねん?

                     11/21 宮崎